台湾の烏龍茶 お茶づくりの工程 (5) ~揉捻と初乾~
台湾の烏龍茶づくりの工程も、いよいよ佳境に入ってきました。
台湾茶 茶葉を揉捻(じゅうねん)してやります
発酵が止められた茶葉は、揉捻機(じゅうねんき、ロウニェンチィ)という大きなすり鉢のような機械にかけられます。といっても、すり鉢のようにすりつぶしてしまうのではなく、すりこ木とすり鉢の間に結構空間があって、そこに空間の高さを埋めるくらいの量の茶葉を投入すると、主として茶葉どうしがこすれ合うかたちです。
そうやって茶葉を揉捻機にかけて転がしていくと、次第に茶葉どうしが絡まって、茶葉が細長く締まってきます。
揉捻機でお茶をもんでいる様子です。すりこ木とすり鉢の間には結構空間がありますので、茶葉はすりつぶされているわけではありません。
台湾茶 揉捻すると茶葉はどうなる?
揉捻のこすれ合う力は茶葉の組織をこわして、なかに閉じ込められていた香味・うまみ・味わい成分のエキスを抽出し茶葉表面に付着させ、お茶を淹れたときにエキスが溶け出しやすくし、滋味芳醇なお茶にしてくれます。
揉捻した茶葉は、こんな感じです。もう少し水分量を減らして、丸めてやれば、おなじみの粒状の烏龍茶葉になるんだろうな、と予想できるかたちになってきました。
台湾茶と日本茶のちがいは揉捻にあり
でも、この工程でエキスを表面に出しすぎると、お茶を淹れたとき、1~2煎程度ですぐ味や香りがなくなってしまいます。日本茶の場合は、茶葉の見た目も気にするので、この揉捻の工程を 葉打ち ⇒ 粗揉 ⇒ 揉捻 ⇒ 中揉 ⇒ 精揉 などと細分化して、かなり念入りにやりますので、結果として茶葉のエキスもあらかた表面に出ていくことになります。
そのため、日本茶は淹れると最初強い香りが感じられ(台湾の人はこれを「日本茶は香りが鼻を叩く」と表現します)、茶湯の味も色合いもしっかりしていますが、3煎目、4煎目となると、もう白湯を飲んでいるような水くさい風味になってしまいます。
台湾茶の場合、日本茶に比べると最初は香りが弱いと思われるかもしれません。茶湯の色や味がうすくて、もの足りないと思われる方もいらっしゃるでしょう。でも、台湾茶は3煎目、4煎目と淹れていっても、すぐには茶湯が水くさくなりません。お茶としてのアイデンティティが保たれている感じです。
台湾茶の初乾、乾燥させてエキス分を茶葉に固定
このような台湾茶と日本茶の特徴の違いをもたらす揉捻の工程、最後は抽出されたエキスを茶葉の表面に固定し、茶葉の水分量を均一に減らすために、茶葉を平らにならすようにして乾かす乾燥機にかけます。これを初乾(しょかん、チューカン)と呼んでいます。萎凋の段階から徐々に水分は茶葉から抜けていってますが、本格的に乾燥させるのはここからなので、これを初乾と呼んでいます。
初乾での乾燥機のようすです。