【お茶の種類:品種】金萱茶は品種改良の努力のたまもの

 
 お茶は、チャノキ(茶の木、学名:Camellia sinensis)というツバキ科ツバキ属の常緑樹です。犬のなかに秋田犬やレトリバーやダックスフントなどの犬種があるように、チャノキにも多くの品種があります。台湾でお茶をつくるために栽培されている品種をご紹介してまいります。

 
 台湾で最も多く栽培されているお茶の品種は、前回ご紹介した青心烏龍で、その作付け面積は約8500haで、甲子園球場2180個分です。第2位が金萱茶で作付け面積は約2000h(甲子園球場513個分)です。1位との差は大きいのですが、台湾の北から南、平地から高山まで各地のお茶産地で栽培されています。

 
 金萱茶(きんせんちゃ、萱は日本語では”けん”と読みますが、中国語読みのシュエンに音が似ているので”せん”と慣習的に読まれることが多い)は,別名「台茶12号」といいます。台湾農委会茶業改良場が品種開発に成功した12番目の品種という意味です。

 
 数千に及ぶ品種の中から、戦後における台湾茶の父と呼ばれる呉振鐸氏が自ら選定したのが、この台茶12号と、翠玉とよばれる台茶13号の二つです。

 

台湾茶 金萱茶の茶葉 
 
 実に40年の歳月をかけた試行錯誤の後、1980年代初頭に母木に台農8号という品種、父木には四大名種のひとつ硬枝紅心という品種を用いて、これらを掛け合わせてできたものです。

 
 品種改良でできただけあって、樹勢が強くて多く収穫でき、病虫害にも強く、よい風味のお茶ができる品種です。淹れるとほんのりミルクのような香り(奶香、ナイシァン)があるのが特長です。台湾では、女性や若い人に人気の品種となっています。

 
台湾茶 金萱種を使った紅茶の茶葉 
 
 金萱茶は、主に青茶(ウーロン茶)に加工されていますが、紅茶や東方美人茶に使われることもあります。写真は、金萱種でつくった紅茶です。えぐみが少なく、すっきりした味わいで、スイーツのお供に最適です。

 
 
 
 
 
 
 
 
  金萱茶の特長でもあるミルクのような香り、奶香(ナイシァン)ですが、金萱の茶葉を淹れても、ほんのり漂う香りなので、淹れる温度が低かったり、時間が長すぎると、ほとんど感じられないことがあります。熱めのお湯で手早く淹れるのが奶香を楽しむコツですが、それが一番おいしい味わいになるかどうかは分かりません。淹れる時間を変えて、お気に入りの条件を探してみるとよいでしょう。

 
 逆に、ミルクの香りがはっきりしていたり、淹れる前の茶葉からミルクの香りが漂ってくる場合は、添加物で香りを付けている可能性があります。台北の外国人ツーリスト向けの大きなホテルに入っているストアでも、そういったまがい物を平気で販売してたりしますので、要注意です。ミルクの香りが強い金萱茶は疑ってみた方がよいでしょう。

 
 質のよいお茶ができる品種なので、本来は高級品種の青心烏龍をつかうべきところに、金萱をつかっているケースもあります。以前、ネットで、「凍頂金萱茶」という訳のわからない商品が販売されているのをみたことがあります。凍頂烏龍茶は、伝統に則ってしっかり発酵させ、焙煎したお茶で、品種は古来青心烏龍を使います。そもそも、南投県の凍頂山で烏龍茶の栽培を盛んにやりだした頃、金萱という品種はまだこの世に存在していませんでした。

 
 そんな商品が出てくるのは、それだけ金萱という品種のポテンシャルが高いから、といえます。台湾では、「茶殻をみて青心烏龍と金萱を見分ける方法」が流布されています。茶殻の葉を広げると、青心烏龍のほうが葉がほっそりしていて、葉脈が割と葉の先端に向かって走っている、金萱のほうが葉の横幅が広くて楕円形に近く、葉脈は横に広がって走っている、葉のふちのギザギザは金萱の方が大きくはっきりしている、といった葉の形状の特長の違いで、これらの品種が見分けられるというのです。

 
 今後の発展に注目したい品種、金萱(台茶12号)をご紹介しました。

 
 


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