アイス・チャイニーズティー 夏は水出しで涼やかに
この週末、海の日の連休は全国的に猛暑になりそうで、7月半ばにして、暑すぎる夏たけなわです。
中国茶、台湾茶というと、普通は熱湯で淹れるので、夏場は敬遠しがちですが、発酵度や焙煎を抑えたお茶、清香タイプのお茶などは、漢方でいう涼性なので、からだの余計な熱を取ってくれます。
アイスティーは、アイスコーヒーもそうですが、普通は熱く淹れたのを冷ましてつくることが多いようです。喫茶店に行くと、氷をたくさん入れたグラスに熱いのを一気に注いで冷まして提供するお店があります。横で見ていて、冷えたグラスが熱膨張で割れるんじゃないかとハラハラしてしまいます。
アイスティーのルーツも、そんな作り方でした。今から百年余り前、1904年夏、米国ミズーリ州セントルイスの街で、世界博覧会が開かれました。そこに、インドのお茶メーカーがブースを設けて、紅茶をPRしようとしました。
英国紳士が一人、ターバンにインド民族衣装で盛装したインド人を使って、本場の雰囲気さながらに、淹れ立ての熱い紅茶を来場者にふるまおうとしました。しかし、米国中西部の夏は、内陸性気候のため、ニューデリーから来たインド人もびっくりの酷暑でした。まだ冷房が普及していなかった20世紀初頭、博覧会の来場者は皆汗だくで、熱い紅茶には、誰ひとり見向きもしません。
そこで、件の英国紳士は一計を案じ、グラスと氷をたくさん用意させました。グラスいっぱいに氷を入れて、そこに濃いめの紅茶を注いで、来場者たちに提供したのです。冷たい紅茶は喉をうるおし、うだる体をすっきりさせてくれます。それはたちまち評判をよび、ブースには押すな押すなの行列ができるようになりました。
これが、記録に残るアイスティーのルーツです。その後、米国ではすっかりアイスティーが定着し、1980年代には年間360億杯も飲まれるようになりました。一人当たり年間100杯以上ですね。米国文化の広がりとともに、日本でも、台湾でも、世界各国でアイスティーが飲まれるようになりました。中国の陸羽が8世紀に「茶経」を執筆してから、1200年近くの時を経て、はじめて人はアイスティーを普通に飲むようになったのです。
最初のつくりかたがそうだったせいか、アイスティーは熱湯で淹れたお茶を冷やしてつくるのが、一般的なつくりかたです。しかし、最近台湾でも注目されているのが、”水出し”でつくるアイスティーです。常温の水に茶葉を投入し、数時間静置しておく常温抽出法で、茶葉の成分は非常にゆっくりとした速度で抽出されます。また、カフェインや苦み・渋みのもとの成分は余り溶け出しません。だから、するりと甘い口当たりになり、眠れなくなることもありません。たくさん飲んでも体にやさしいので、夏場の水分補給、熱中症予防に好適です。
台湾茶で水出しアイスティーをつくる際の淹れ方は、
をご覧ください。
ぜひ一度水出しアイスティーをお試しください。