台湾茶 その魅力 おいしさをお伝えしたいから (3)

 引き続き、某ネットメディアでのインタビュー記事をお届けします。
単に中国茶の産地のひとつというだけでない台湾のお茶、その魅力と奥深さを知っていただければ、幸いです。

 
 

台湾茶に魅せられて ~台湾茶を日本の食文化に根づかせたい~ (下)

 

( 前回 からの続き) 
 

台湾茶 美味しく淹れるポイントは三つ、茶葉の量・お湯の温度・淹れる時間
 

 

――台湾茶を美味しくいただくための工夫は何かありますか。
 
岸本: 本場の茶芸師、林天凰(リンテンホウ)さんに直接教えていただいた淹れ方をおすすめしています。林さんの淹れ方は、繊細な風味を味わうのに適しているので、濃いめがお好きな方は、茶葉の量を増やして、淹れる時間も長めに調節されるといいと思います。

 
 台湾茶を美味しく飲むには3つのポイントがあります。お茶葉の量、お湯の温度、淹れる時間です。まず茶葉の量は、150ccのお湯に対して3~5gです(紅烏龍は7~10g)。お湯の温度は基本95℃以上、沸かしたての熱湯を使います。東方美人茶の適温は85℃前後と、やや低めです。

 
 湯温を下げないように、ポット・急須(茶壺=チャフー、ちゃこ)は先に温めておくと良いでしょう。淹れる時間はお茶の種類によって違ってきますが、約45秒~2分です。

 
 中国大陸や台湾では、茶壺(ポット・急須)から“茶海(チャーハイ、ちゃかい)”と呼ばれる注ぎ口のついた広口の器(ピッチャー)に一気にお茶を全部注いで、茶壺には茶葉だけを残すようにしています。

 
 なぜ“茶海”に注ぐのかというと、「茶碗に注ぎ分けた際のお茶の濃度を一定にするため」と説明する書物もありますが、淹れる時間を厳守するために、時間になったら一気に茶海に注いで、茶葉とお湯をすぐに引き離してしまうのが本来の目的です。淹れる時間が過ぎたら、茶葉は絶対にお湯に浸したままにしないで、1煎ごとにしっかり湯切りしてやることが大切です。そうすれば、1回の茶葉で4煎から6煎は楽しむことができます。
 

――台湾茶の存在は知っているけれども、まだ試していない方々にメッセージをいただけますか。
 
岸本: 中国茶を淹れる実演やテレビで、茶壺の外側や茶碗にザァザァお湯をかけているのをご覧になった方もいらっしゃるでしょう。これは別に儀式でもおまじないでもなく、お湯が冷めないように器を温めるのが目的でそうしているのです。お湯が熱いうちに淹れて、茶葉の量と淹れる時間を測り、時間が来たらお茶とお湯を離すということをしてあげればいいだけなので、難しく考えることはないですよ。

 
 淹れ方は重要ですが、お茶葉の量と温度と時間さえ守ればほかに気にすることはありません。最低限のことさえ守れば美味しく飲めます。1~2煎飲めばそれで満足ということなら、日本茶みたいに急須で淹れたままにして、冷めてしまってからも飲むことになってんでも台湾茶は美味しいです。

 
 

上質な台湾茶を日本の食文化の一つに定着させていきたい
 

――台湾茶の今後の展望についてどのようにお考えですか。どのように取り組まれますか。
 

岸本: 台湾茶は、高品質な茶葉を高い製茶技術で加工することで進化した、中国茶のヌーベルバーグです。今後も、茶葉の品種改良や製茶技術の発展で、新たな魅力、今までにない商品が生み出されていくことでしょう。それらを日本の皆様にタイムリーに楽しんでいただけるよう、アンテナを張って、ラインナップの充実に努めていきたいと思います。

 

 日本ならではの手軽でおいしい台湾茶の飲み方も研究して、提案していきたいですね。日本茶みたいな淹れ方をしても美味しいし、ちゃんと淹れたお茶は冷めても美味しい、むしろ、冷めて初めてわかる味わいがある、そんな台湾茶の特徴を生かした提案をしたいです。そうして、台湾茶が日本の生活シーンに溶け込んで、日本の食文化のひとつとして定着すれば、うれしいですね。

 

 また、台湾茶というのは、烏龍茶系には強いですが、緑茶というのはなかなかありません。北部の標高の低い産地で少量生産されている程度です。今後は、中国の浙江省(せっこうしょう)あたりの緑茶で、身元がはっきりしていて品質の良いものを入れていきたいと思います。

 

 その他には、雲南省あたりのプアル茶。プアル茶というのは、雲南省の特定のエリアで採れる大葉種の高木の茶樹から採れた茶葉を、伝統的な作り方で熟成させて作ったもの以外はプアル茶と呼んではいけないとされています。だから、台湾でプアル茶をつくることはできません。人工的に菌を入れて熟成を促しているまがい物がありますが。本物は、現地の気候の中で自然に発酵させます。

 
 大きくて丸い部屋でプールのような容器に茶葉をぎっしり積み重ねると、自然に発酵して発熱してきます。そこで繰り返し水をかけながら熟成させていくんです。プアル茶は、現地の老舗メーカーから直接仕入れている良い業者さんを知っていますので、そこから仕入れる予定です。
 

 紅茶については、台湾産で良いものがあれば扱っていきたいと思っています。日本統治時代からの伝統を受け継いで、さらに品種改良して良い茶葉ができるようになっていますので、それを良質な紅茶に仕立てているところがあれば扱いたいです。日本ではポピュラーな花茶(ジャスミン茶)は、やはり根強いニーズがありますので、台湾でいい商品がないか、探しているところです。

 
 その他には、中国大陸のお茶でも、素性のわかっているものに関しては取り扱いたいと思います。中国の現地で作っているところに直結したコネクションのあるところから仕入れていきたいですね。これからも良いものをリーズナブルな価格で提供したいです。

 
――将来的に日本の中で台湾茶をどのように育てていきたいですか。

 
岸本: 台湾茶はいま、中国茶の一部のようなイメージで扱われています。東方美人茶は知っていてもこれが台湾茶ということをご存じの方はいらっしゃらないでしょう。それに、上質な本物の台湾茶を実際に味わったことがある方もあまりいらっしゃらないでしょう。ぜひ、ひとりでも多くの方に本物の台湾茶を味わっていただきたいと願っています。

 
 例えば紅茶だったらセイロン茶が有名になっているように、台湾茶ならではの美味しさを日本の皆さまに知っていただき、日常生活の中に自然に取り入れていただくことで本物の台湾茶としてのブランドを確立して、ポジションを築き上げていきたいと思います。

 
――本日はありがとうございました。

 
( 以 上 )


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