中国茶や台湾茶 小さい茶碗で飲むのはなぜ?

以前、某Q&Aサイトで「中国茶や台湾茶 小さい茶碗で飲むのはなぜ?」という質問が出たので、小生も回答して、ベストアンサーになりました。その内容(一部編集済み)をご紹介します。

 
中国の宜興紫砂の茶器、お猪口みたいな小さな茶碗が茶壷(中華風急須)とセットになっていたりします。台湾などの工夫茶、小さな茶碗で飲みます。そういった茶碗のことですね。

 
実験してみました。百均で売ってたマグカップと合羽橋で買ってきた中国の小さな茶碗。
きちんと計量した茶葉を茶壺(急須)に投入し、タイマーで抽出時間をコントロールして、いったん茶海(規定の時間抽出したお茶を、一気に注いでプールしておく広口の器、お茶が出すぎないようにするのが目的)に注いでから、マグカップと小さい茶碗に移して飲んでみました。使ったお茶は結構高級な台湾高山烏龍茶です。

 
元々いいお茶なので、マグカップから飲んでも十分美味しいのですが、小さい茶碗から飲むと台湾高山茶はもっと美味しい、はっきり違いが分かります。

 
その理由は、石田三成の故事で判りますね。のどが渇いているときは、大きな茶碗に薄くぬるめに淹れてゴクゴク飲んでもらう、三杯目は小さな茶碗に濃く淹れて、ゆっくり味わってもらう、その気配りが認められて取り立てられた話です。

 
大きなマグカップから飲むと、どうしても一口で入ってくる量が多くなります。そうすると、生理的に早く呑み込みたくなって(へたして気管に入ってはいけないので、速やかに食道に送ろうとする本能)、量が多いのと相まって、あまりじっくり味わえません。

 
小さな茶碗で飲むと、口の中でコントロールしやすい量となりますので、ゆっくり味わえます。もちろん、大きな器から少量ちびちび飲んでもいいのでしょうが、力加減がたいへんですね。

 
味蕾(味覚神経)は舌の上だけでなく、密度は落ちますが、口の中のいろんなところにあるそうです。のどの入り口辺りにも少しあって、のど越しの味覚も味わえます。少量の茶を口のなかのいろんな場所に当ててやることで、いろんな味覚が味わえるのです。台湾茶にはこういった繊細な味わいに親しむ楽しみもあります。

 
台湾の茶師を見ていると、お茶の味を確認するときに、ズゥーっと音を立ててお茶をすすったりしています。真似してみると、お茶は舌に乗るのではなく、軟口蓋あたりに直行してきて、違う味覚が味わえますし、勢いがあるので、香気も口中に広がります。口の中から鼻に抜ける香りも中国茶を楽しむ重要な要素です。

 
台湾の茶師さんと話をすると、よく回香(ホイシァン)という言葉が出てくるのですが、茶湯を口に含んでからの口から鼻に抜ける香りや、喉の入り口辺りにある味蕾での味わいなども含めたものを指しているのではないかと思います。このズゥーっと音を立てて啜るのも、小さな茶碗のほうがやりやすいです。

 
台湾茶、和風の湯呑みで飲んでも全然構わないし美味しいので、私も普段はそうしています。でも、本場の台湾茶を入手されたら、ぜひ一度小さな茶碗で飲むことをお試しください。別に中国茶専用の茶碗を手に入れなくても、日本酒用のお猪口などで構いません。


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