台湾茶のふるさと、南投県を走る集集線に乗ってみた
台湾鉄路には「集集線」(ジージーシェン)という全長29.7kmのローカル線があります。台湾茶のふるさと南投県を走り、台湾中部の風光明媚な景勝地「日月潭」(紅茶でも有名ですね)へのアクセスルートになっていて、ノスタルジックな雰囲気が味わえる人気の路線で「南投県観光鉄道」と言われています。
2015年に千葉県のいすみ鉄道、2016年に静岡県の天竜浜名湖鉄道と、それぞれ姉妹鉄道協定を結んでいます。
自分が台中に駐在していた2011年当時、1999年の921震災で長らく不通になっていたのが、ようやく全線で営業再開したばかりということで台湾ではすごく話題になっていて、休日に日帰りで出かけてみました。
元々日本統治時代に、台湾電力の水力発電所の資材輸送のために敷かれた歴史ある路線で、その後は周辺山地からの木材積み出しに使われてきました。その頃の面影を残す駅舎が現存していてノスタルジックな雰囲気を醸し出し、今は観光路線となっています。
濁水渓という河沿いに山に向かって走り、集集緑色隧道(集集の緑のトンネル)と呼ばれる緑がかぶさるような並木道が続いている景色を車窓から眺めながら、終着の車埕(チョーチョン)駅まで行きました。
ちなみに、濁水渓は台湾中央山脈から西岸に流れる台湾最長の河川で、いつもその水が濁っていることから、この名前が付きました。台湾の古い言い伝えでは、濁水渓の水が澄んだそのとき、大事件が勃発するのだそうです。直近では日本が敗戦した1945年に濁水渓の水が澄み渡ったということですが、次に澄み渡るときは何が起こるでしょうか。
台湾鉄路局(台鉄)の切符、懐かしさを感じさせる硬券です。
台鉄の台中駅から、午前8時20分発の集集線車埕行き区間快車に乗りました。最初は西部幹線(台湾島の西側を走る台鉄の幹線)、田園地帯のなかを列車は走っていきます。
集集線の起点は、「二水」(アルシュイ)駅です。
ここからは単線になります。
上下線の列車は、駅ですれ違います。
乗っている電車がプラットフォームで停車していると、ちょうど上りの電車が入ってきました。
線路に並行して走る道路には、街路樹が覆いかぶさるように繁茂しています。
集集緑色隧道(集集の緑のトンネル)です。
ノスタルジックな佇まいの水里(シュイリー)駅。
この辺りから、遠景の山がだんだん近づいてきます。
緑の木立のなかを線路はまっすぐ伸びていきます。前方には深い山々が私達を待っています。
さあ、終点の車埕駅に到着です。
乗客がホームに降り立ちます。
車埕駅の車止めです。集集線のどん詰まり地点です。
ここは観光駅なので、乗客がホームから線路に降りて歩いたり、写真をとっても構わないのです。
自分も駅の中を散歩してここまで来ました。
集集線の終点、車埕駅は山の中です。
昔のフォークソングの一節を思い出してしまいました、木曾はぁ~、山のなかですぅー、誰もぉ来やしぃませーん。。。。。
別に行く当てはありませんでしたが、車埕駅の改札を出て坂を登り、高い方に上がってみました。
下から見上げると、上には広くてフラットな場所があるように見えたからです。
登っていくと、そこにはダム湖があって、発電所でした。「明潭発電廠」(ミンタンファーディエンチャン」です。(下の写真)
駅の近くには、かつて木材集積場だったことから、当時の貯木池(山から切り出した木を浮かべて保管した池)が残っていて、かつての製材工場を再現した博物館になっています。
お昼時になったので、その製材工場を模した博物館のなかの食堂に入りました。
なんと、こんな田舎でもカツカレーがメニューにあるのです。とんかつが好物なので、思わず頼んでしまいました。カレーはあまりスパイシーではありませんでしたが、味噌汁とお新香がついてきたのは、日本の定食にならったのでしょうか。
車埕駅の駅舎、ちょっと日本的な感じもして、いい味を出しています。
駅の近くの2階建て長屋風の建物です。
昔の職員宿舎だったらしく、ノスタルジックな味わいの建物です。
そして、午後の列車で台中に戻りました。
このときは、台鉄の台中駅から往復しましたが、高鐵(台湾版新幹線)で台北から直接来る場合は、高鐵台中駅に隣接する台鉄の「新烏日」駅から台鉄に乗り換えるのが便利でしょう。
台北から日帰りできるところなので、台湾旅行で一日時間があいたら、足を伸ばされてはいかがでしょうか。